アラビカ種のみでブレンドを組む場合は、華やかな香りの、エレガントな印象の一杯を作り出すことが出来ます。アラビカ種はロブスタ種に比べてオイル分を多く含むので、エスプレッソにした際に表面に光沢のあるクレマが生まれます。(逆にロブスタは繊維質や炭酸ガスを多く含むので、クレマの表面が波打つような仕上がりになります)。
しかし、ともすれば薄く酸味が強くなってしまう可能性を孕むため、特にカプチーノなどミルクで割って飲むケースが多い場合は、エスプレッソらしいボディをしっかりつくるように、アラビカ種の中でもコクのある種類の豆をブレンドに入れたり、単純に豆の量を増やしたり、焙煎度合いの深い豆(焙煎が深くなれば酸味が飛び、渋みや苦味が加わる)をブレンドしたりすることでボディ感を出します。このあたりは、バリスタの腕の見せどころです。
現在、バリスタ選手権などの大会でバリスタが持ち込む豆は「アラビカ100%」が当たり前で、ロブスタをブレンドに組み込んだ豆を使う人はありません。バリスタチャンピオンシップなどの主要な大会は、主催者(スペシャルティコーヒー協会)がスペシャルティーコーヒーの普及を目的の一つとしていることもあり、スペシャリティーコーヒーではないロブスタ種を使用することは大会の意義から外れるからです。こういった大会では、店舗の現場とはまた違う原理が働いているということです。
アラビカ・ロブスタ、と2種類に分けてしまうのは簡単なのですが、それぞれの豆にそれぞれの特徴があり、またその焙煎深度や混合比率によって複雑な味わいを生み出すのがコーヒーの面白いところです。ひとくちにロブスタと言っても、下手なアラビカより高価なロブスタもあったりしますしね。
アラビカ100%にも、ロブスタ混合にもそれぞれの良さがありますので、一概に決め付けるのではなく、色々な豆を試してみて自分なりの好みの一杯を見つけることが出来れば、それが一番だと思います。
ちなみに僕は、ロブスタ入りブレンド派で、うちの店のブレンドにもロブスタが入っています。