アラビカ種の特徴としては、「フローラル」とも表現される、花のような甘い香りと酸味があります。

 

 アラビカ種は標高1000メートル以上の高地でないと栽培に適さず、一本の木からの生産量も多くありません。病気にも弱いので、大変な手間をかけて作られています。必然的に、豆の価格は高価になります。

 

  一方、ロブスタ種は比較的低標高でも栽培が可能で、病気に強く、また一本のコーヒーノキからの収穫量も多い点に違いがあります。カフェイン量もアラビカの倍ぐらいあり、同量の豆から抽出可能なコーヒー液の量もロブスタの方が多いため、コーヒーにした際の製造コストが抑えられることもロブスタの特徴と言えるでしょう。

 

 味の面では、酸味が少なく、苦味や渋みが強いといった個性があります。これらを生かしてブレンドに使われたり、インスタントコーヒーや缶コーヒーに使われたりといった用途で、ハッキリ言ってコーヒー豆としての評価は高くありません。

 

 なにより特徴的な「焦がした麦のような香り」(日本人の中には「麦茶の香り」という人も)が、敬遠される傾向があります。産地である東南アジアやブラジルではロブスタ種だけで消費されることもありますが、日本では現状、ロブスタ種のみで抽出されたコーヒーを飲むということは、ほぼ無いでしょう。

 

 

 ですが、エスプレッソの世界においては若干ロブスタの評価は変わってきます。

 

 イタリアの伝統的なブレンドには、必ず一定の割合でロブスタが含まれます。

 

 これは、コーヒー豆の原価そのものを下げることや、グラム当たりの抽出効率が上がること、コーヒー豆の店頭での賞味期限がロブスタを入れた方が伸びることなど、経営的なメリットも理由のひとつです。そして、それ以上に「ロブ臭」と呼んで敬遠されがちな「焦がし麦」の香りこそが、エスプレッソとして抽出した際のアクセントになるという意見。そして、ロブスタの味の特徴でもある苦味や渋みが、エスプレッソのボディや複雑な味の深みを支えるという考え方に由来します。

 

 イタリアのエスプレッソにおいては、ロブスタは必ずしも低評価ではない、というのはこういった理由です。  

 

 ナポリに拠点を持つイタリアを代表するトップメーカーのひとつ、「キンボ」の看板商品である「プレミアム」は、アラビカ:ロブスタが50%:50%のブレンド比率です。