ラテアート教室の生徒さんから、エスプレッソ用のコーヒーの買い方を聞かれることが、わりとあります。

 




 たしかに難しいですよね。

 

 愛飲者の多いドリップ用コーヒー豆は、商品も多いので迷う選択肢も沢山ありますが、その分、情報も沢山出回っています。

 

対してエスプレッソ用のものとなると、ユーザー数が少ない分、情報量も少ないですし。

 

コーヒーは、

 

① 豆(ビーンズ)で買う場合

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② 挽き粉で買う場合

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③ カフェポッドで買う場合

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④ その他の特殊形態で買う場合

・・・の、4パターンがあります。

 

 それぞれ、所有するエスプレッソマシンやグラインダー(ミル)などの機材によって、どれを選ぶかは必然的に決まってくるかと思います。

( 豆で買った場合は当然、自分で挽かないといけないので、グラインダーが必要です)

グラインダー ~ コーヒー豆をエスプレッソに適した細かさに挽く器具 。その選び方~

 

 「①豆(ビーンズ)で買う」か「②挽き粉で買う」かは、本音を言えば、グラインダーを自宅に購入し、①の「豆で買って飲む時に挽いて飲む」のが一番美味しいです。

 

 豆は挽いてしまうと表面積が大きくなるので劣化(酸化)が早くなります。挽きたての豆が一番美味しいというのはこのためです。エスプレッソ用の豆は特に極細に挽くので、ドリップコーヒー用の中挽きに比べて空気に触れる面積が広く、その酸化スピードは一層早くなります。

 

 しかし現実的な話、エスプレッソ用のグラインダーはそれなりの値段もしますし、設置スペースも必要です。また、自宅で買ったグラインダーがあまりに低品質なものなら、店頭の業務用グラインダーで挽いてもらったほうが美味しくなるというケースもままあります。また、挽くこと自体が手間なのも事実なので、結局、挽き粉で買う場合もあるでしょう。

 

 

 最近は成城石井さんやカルディさんみたいな小売チェーン店でも、店頭で豆を挽いてくれるサービスをやっていますし、豆売をやっているコーヒー店なら、当然挽いてくれるはずです。

 

 ちょっと気をつけて見れば、案外買える場所は多いことに気づくはずです。お店選びは、ある程度商品が回転している店を選ぶことも大事です。野菜を買うのに鮮度の悪い八百屋を選ぶ人は少ないでしょう。コーヒーも生鮮食品ですから、全く同じです。商品の回転を判断するには、その店のお客さまの入り方を見ることや、売れている人気商品を買うことです。

 

 購入単位は、なるべく小ロットのものを買うように心がけましょう。開封後は出来るだけ早く消費するのが望ましいです。これは豆で買う場合も同様です。

 

 エスプレッソはだいたいシングルで7~9gの豆を使います。真ん中取って8gだとすると、250gのパッケージでだいたい30杯分という計算になります。1日1杯なら約1ヶ月分ですね。このぐらいが賞味期限かなと思います。

 

 保管に関してですが、挽き粉の状態であれば問答無用で冷凍が望ましいと思います。豆(ビーンズ)の場合も冷凍し、使用する時に常温に戻してから挽くといい思います。

 

 「夏場は冷凍、冬場は冷蔵」と記述してあるサイトもあるかとは思いますが、コーヒーは匂いを吸いやすい食品です。特にエスプレッソ用の極細挽きは、その広い表面積から冷蔵庫内の色々な食材の香りの移りが起きやすいです。冷凍であれば、庫内の匂い自体が少ないので、香りの面の劣化を防ぐことが出来ます。挽き粉は、外に出せばすぐに温度も戻ります。香りはコーヒーの命です。その観点から、僕は冷凍保存をお勧めします。

 

 常温に置くのであれば、このような密閉容器を活用するといいと思います。

 

 賞味期限としては、冷凍保存なら、粉の場合は1ヶ月、豆の場合は3ヶ月ほどと考えますが、早ければ早いにこしたことはありません。

 

 豆自体の選び方については、まず色々な種類の豆を試してみて、自分のお気に入りを見付けていくといいでしょう。

 

 よくワインの選び方について「自分の気に入る品種(メルローとか、シラーとか)を見つけ、そこを足がかりに広げていく」と言われますが、コーヒーも同じです。

 

 大きく分岐する要素としては

 

「アラビカのみか、ロブスタ入りか。また、ロブスタ入りならその混合比率は?」

(アラビカのみなら華やかな香りとキレのあるテイストが特徴、ロブスタ入りならボディやコクが特徴)

「どの産地の豆をベースにしたものが好みか?」

(タンザニアやハワイコナなら酸味が強く、コロンビアやインドネシアはボディがしっかりしている傾向があるなど)

「酸味がある方がいいのか苦味が強いほうが好みなのか?」

(産地によっても個性があり、ローストによっても変化する。市販の豆を選ぶ際はローストを基準に選ぶことになるケースも多い。)

 

 

…といった要素で自分の好みを絞り込んでいくと、徐々にお気に入りの豆に近づいていけると思います。

 

 気にいった焙煎業者やメーカーが見つかれば、そこが販売している豆のラインナップを順にみていく、というのもおすすめです。そこに記載された豆の種類や、ロースト具合が、自分の好みに合っているという判断材料になります。

 

 酸味・甘味・苦味・香り・バランス・余韻といった項目についてテイスティングノートを付けていくといいでしょう。

 

 まるでワインのようですが、ソムリエの田崎真也さんが「ワインのテイスティングを練習する方法の一つ」として挙げておられるほど、コーヒーのテイスティングはワインのそれと共通点が多いです。

 

 その他のコーヒーの選び方としては、飲食店で美味しいお店に出会ったら使っている豆を聞いてしまうというのも手です。

 

 もちろん教えてくれるかどうかは分かりませんし、聞き方に礼儀は必要だと思いますが、「頂いたエスプレッソ(カプチーノ)がとても美味しかったので、使っている豆を教えて貰えませんか?」と言われて嫌な気持ちになる飲食店員はそうそう無いと、いち飲食店側の人間として思います。

 

③カフェポッドで買う場合 についてですが、これは家庭用エスプレッソマシン向けに流通している商品です。

 

 ひと袋に1回分のコーヒー豆が紙の袋にパッケージされているため、そのままエスプレッソマシンに設置してボタンを押すだけでOKです。エスプレッソマシンによってはカフェポッドに対応していない機種もありますので、注意してください。

 

 一杯分づつ個別包装されているので、下手に挽き豆を買うよりも鮮度がいいケースもありますし、なにより様々な種類の豆を試しやすいというメリットがあります。計量も必要ありませんし、粉が飛び散らないので周りを汚さない。清掃が楽というのも、家庭で使うのには大きな長所だと思います。一方、一杯あたりの値段は少々割高なのと、クレマが出にくい傾向があるというデメリットがあります。

 

 44mm規格と60mm規格がありますが、通常エスプレッソ用として流通しているのは44mm規格です。

 

 他には、最近のトレンドとして「デカフェ」と呼ばれる、カフェインレス・コーヒーもあります。

 

 デカフェは、日本ではまだあまり浸透していませんが、全世界のコーヒー市場では10%程を占めているとも言われますから、結構な消費量です。

 

 健康志向の強いヨーロッパで特に人気があり、妊婦さんなどカフェインを摂りたくない人でも安心して飲める(完全にゼロではなく、コーヒー豆中の0.2~0.3%以下)点で、今後市場はさらに拡大していくでしょう。また、カフェイン中毒を気にする人がいることも事実です。

 

 デカフェの製造法ですが、現状カフェインレスにする方法としては、溶媒に生豆を浸してカフェイン成分を溶かし出す工程を取っています。その際、香り成分も抜けてしまうことから、風味へのダメージがあることは頭に入れておく必要はあると思います。

 

④ その他の特殊形態で買う場合は、持っているエスプレッソマシンによって自動的に購入するアイテムが決まるパターンです。

 

 具体的には、ネスレが販売している「ネスプレッソ」や、イリーが販売しているカプセル式エスプレッソマシンは、そのカートリッジ(カプセル)自体に互換性がないため、自ずと専用のカートリッジを購入することになります。このあたりは、マシン購入の際に考慮すべき点でもあります。

 

 

 最後におまけ情報としては、「単にフリーポアのラテアートで、ミルクを注ぐ練習がしたい」というだけでしたら、インスタントコーヒーやココアを使うことも安く上がるので一手です。たしかにクレマは出ませんが、対流を起こすということと、ピッチャーの動きの確認という点では意味があると思います。

 

 コントラストの綺麗なラテアートにこそなりませんが、ちゃんと絵柄は描くことができます。

 

 

 色々な豆のカタログに関しては、こちらのページでどうぞ。

コーヒーについて ~ エスプレッソ、ラテアートに適したコーヒーとは ~