「エスプレッソマシンは、○度○気圧でエスプレッソを抽出する」
【Delonghi デロンギ デディカ エスプレッソ・カプチーノメーカー EC680】
ここで一旦、コーヒーを離れて「お茶」に目を向けてみましょう。
例えば紅茶であれば茶の木の葉の完全発酵茶、 烏龍茶であれば半発酵茶、 緑茶であれば不発酵茶 といった具合です。
お茶の飲用の歴史は紀元前にまで遡ります。
お茶が発酵度によって味わいが変化し、その最適な抽出方法が変わっていくのであれば、同じようにコーヒーも焙煎度によって味わいが変わるわけですから、その最適な抽出方法も変わって当然と言えます。
僕は本職が調理師ですから、シェフとしての言い方をすれば、「素材(コーヒーの豆の焙煎度やブレンド、メッシュ)が違うなら、出汁の取り方は当然変わるよね。」というのが率直な意見です。
ドリップコーヒーのジャンルでは、わりと前から、温度に関しての考察が色々と行われてきました。
しかしエスプレッソのジャンルでは、ここへのアプローチは一歩遅れていた気がします。今まで「90度9気圧」が定説だったのは、ユーザー側が、温度や気圧というレベルまでの微調整が出来なかったというマシン構造によるところもあるでしょう。ですが、そこをいじるということにあまり疑問を感じるバリスタが少なかったのも、おそらくまた事実です。敏感なバリスタは、既にここに対してのアプローチをどんどん始めています。
「どのような品種の豆を使い、それをどのような焙煎度と混合比率でブレンドを構成し、それをどんなグラインダーを使いどのようなメッシュで挽いて何グラムの粉をどのタンパーでどれぐらいの力でタンピングし、どんなマシンを使って何度のお湯で何気圧で何秒かけてどのぐらいの量のエスプレッソの抽出を行うか。」
というのが今後、エスプレッソの抽出においてバリスタが取り組んでいく課題となっていくでしょう。
まさに、調理のようではありませんか。
求められるのは、素材とその取扱いに関する、一層幅広い知識と探究心。
「うわ。めんどくせー。」 と思うか、「面白そう!」 と思うか。
後者であれば、あなたはバリスタに向いているのかもしれません。
(バリスタは研究職ではなくサービス業ですから、プラス「接客力」も必要だからです。何事にも楽しんでやれる人が、接客にも向いていると思います(笑))