【家庭用エスプレッソマシンの選び方のポイント】
一昔前に比べて、沢山の機種がインターネット通販を通して購入できるようになりました。
重要なことは、自分が求めているものは何かをクリアにした上で、それを満たす機種を選ぶことです。
家庭用のエスプレッソマシンは、万能ではありません。業務用のマシンと比べれば値段も1桁、2桁違うわけですから、当然、その性能には大きな開きがあります。
従って、その制約の中で自分は何をやりたいのか?を考える必要があります。
「美味しいエスプレッソを飲みたい」のであれば、エスプレッソの抽出機構がしっかりした作りのものを求めるべきです。今ですと「ネスプレッソ」のようなエスプレッソ専用のマシンも相当美味しいものを淹れられるようになっています。
「カプチーノ・ラテアートを作りたい」のであれば、スチーム機能が付いていて、かつスチームのパワーがあるものが理想です。
「その両方を」ということでしたら、ある程度基本性能が高い機種が必要となりますので、それなりの値段のものを求めるべきでしょう。
「とりあえずやってみたい」というレベルの希望なら、1万円ぐらいでスタート出来る機種がありますし、
「ボタン一つで全部手軽に」という希望も、今はグラインダー機能まで内蔵したオールインワンタイプの機種まであります。
ちなみに、家庭用と業務用の最も大きな違いは「連続抽出能力」です。
たとえば業務用であれば、カプチーノを10杯連続で作ることが可能です。エスプレッソを抽出しながら、同時にミルクをスチームすることが出来るので、作業が途切れることなくスムーズに提供できます。
家庭用はボイラーやサーモブロックの容量・パワーが小さいので、エスプレッソの抽出とスチームを同時に行うことが出来ません。また、抽出とスチームに切り替える際もタイムラグが発生します。場合によっては、切り替えに1分以上ということもありますので、カプチーノを10杯作ろうと思えば、その都度、抽出とスチームの切り替えにインターバルを挟むことになり、10杯目を作り終える頃にはかなりの時間が経っているでしょう。
これが実際の店舗なら、お客様を待たせすぎて怒られてしまいます(家庭用はスチームのパワー自体も弱いので、ミルクのフォーミングにも時間がかかりますし)。また、ボイラーのパワー自体も違ってくるので、業務用は圧力の低下も起きません。これが家庭用と業務用の大きな違いです。
家庭用マシンには、1万円ぐらいの機種から、20万円を超える機種まで様々です。その差は何なのかというと、もちろん、材料(低価格機種はプラスチックパーツが多い、高価格のものになると金属パーツが増える)の違いも大きいのですが、こういうエスプレッソマシンの能力的な部分が、高価な機種は業務用に近くなっていく、ということです。
スクーターから軽自動車、そして普通乗用車、大型乗用車へと、エンジンの出力が上がっていくのと同じようなことです。
家庭用マシンでは、「連続10杯」なんていう使い方は、そもそも想定していません。せいぜい2~4杯でしょう。
それぐらいであれば、それほど大きなストレスを感じずに、作ることが出来るかと思います(待たせて怒られるとか、帰ってしまうわけでもありませんし)。
家庭用は業務用に比べて万能ではありませんが、その分、手軽でスペースも取らず、価格も抑えられています。いいマシンと出会うことができれば、きっと生活にアクセントと潤いを与えてくれるでしょう。
実際にエスプレッソマシンを購入を検討する際の選び方ですが、
① 予算
② 使用可能なコーヒーの種類
③ 性能・デザイン
の3点で見ていくことになるかと思います。
① 予算
家庭用として現在販売されているマシンの価格帯は、2万円以下の低価格帯、2万円~5万円の中価格帯、5万円~10万円の高価格帯、10万円以上のハイエンド機種、で大きく分かれてきます。ハイエンドの中でも、20万円以上の機種であれば「セミコマーシャルマシン」(準業務用)と呼んで差し支えないレベルになってきます。
実は20万円以上の機種を紹介するかどうか迷ったのですが、たとえば「スノーボードが趣味」という人なら、1シーズンにゲレンデに行く交通費も含めて10万ぐらいは使うでしょうし、「ゴルフが趣味」という人なら、クラブセットを揃えてホールに何度か行けば相当な出費になってくるわけで。そう考えると、コーヒー関連に20万円という金額を出す人も、実はわりといるんじゃないか?と思ったからです。一度買ってしまえば、豆代はそんな高いものでもないですし。
実際のシェアでいけば、中価格帯のものが一番多いと思われます。
まず初めに低価格帯のものから買うか、それとも少し頑張って中・高価格のものを購入するか、という所ですが、個人的には、中価格帯以上のものをお勧めします。
3万円前後からは基本性能もしっかりしてきますし、あくまで僕の周りの話ですが、最初に低価格帯のものを買ったはいいけど、結局もっと良い物が欲しくなって中・高価格帯のもに買い換える人が多いからです。
いきなり最初から高価格帯のものを買う際は、「本当に使うのか」をよく考えてから買うようにしましょう。せっかく買っても使わない、では、宝の持ち腐れです。ただ、高価格帯に入るものは、どれも買って損はない品質のものだと思います。
もし「抽出とスチームが同時に行いたい」という希望があるなら、それなりの出費は覚悟しましょう。おそらくここが最も、家庭用と業務用の間にある、越えられない壁です。この希望を叶えるとなると、20万円以上のマシンが必要になることは覚えておいてください。
②使用可能なコーヒーの種類
家庭でエスプレッソを楽しむことを考えると、とても重要な項目です。
ここで言うコーヒーの種類とは、具体的には「エスプレッソの粉(挽き豆)」か、「カフェポッド」か「メーカー専用カートリッジ」か、という3種類があります。
それぞれに一長一短があるのですが、ざっくり説明すると
エスプレッソの粉(挽き豆):エスプレッソを淹れる醍醐味を味わえる。豆を購入する際の選択肢も広いが、鮮度管理に留意が必要。
カフェポッド:1杯分づつの豆が個包装されているので鮮度管理が楽。豆が散らからないので清掃も楽。クレマは出にくい。
メーカー専用カートリッジ:取り扱いが楽。抽出も手軽。安定した品質のエスプレッソが飲めるが、専用の機種にしか使えない。(例:ネスプレッソ[ネスレ]、イペールエスプレッソ[イリー]、ビアレッティ・カプセル[ビアレッティ]。
自分のライフスタイルとも合わせて、どのタイプの豆を使いたいかを考え、それに対応した機種を選ぶようにしましょう。
コーヒー豆については、こちらの記事も合わせてご覧ください。
③ 性能・デザイン
家庭用マシンに関しては、価格による機能に大きな違いはありません。多くは、基本機能である「エスプレッソを抽出する」「スチームを出す」の2点のみです(これが業務用マシンですと、抽出の際の温度を変えたり、抽出量をプリセット出来たり、蒸らし機能などメーカー独自の特徴があったりといった、補助機能が出てきます)。
ただ、この2点の「性能」。つまり安定性や品質、パワーで、値段によってわりと大きな差が出ます。
単純に、2万円のマシンと4万円のマシンでは、製造にかけられるコストも倍違うわけですから、当然といえば当然です。
機種により、エスプレッソの抽出に力を入れているもの、スチームのパワーが強いもの。また、それとは別にデザインにも拘ったものなどの個性がありますので、自分がどこを重視するかを考えて選ぶといいでしょう。
デザインは、個人的には重要な項目だと思っています。エスプレッソマシンはそれなりの大きさの家電です。キッチンに置くにせよ、自室に置くにせよ、否応なしに目立ち、ある程度の存在感を放ちます。つまりインテリアとして大きな要素を持つので、自分が気に入るデザインかどうか、部屋のコーディネートに合うかどうかは、重要な要素だと思います。
何より、「気に入った一台でエスプレッソを淹れることは楽しい!」(笑)。
「見た目で気に入ったから買う!」というのも、僕は家庭用エスプレッソマシンに関しては十分な理由だと思います。
それでは、予算別に主な機種をリストアップしていきます。
それぞれに機種の紹介も書いていますが、「値段に対しての満足度」だと考えてください。
たとえば、3万円のマシンと、10万円のマシンで、僕が両方に「スチームのパワーがある」と書いていたとしても、その2台のパワーが同じわけではありません。当然、全く違います。あくまで「3万円という値段の機種としてパワーがある」「10万円という値段の機種としてパワーがある」という意味です。
低価格帯(~2万円)
まずは「エスプレッソに触れてみたい」、「ラテアートというものを体験してみたい」と思う方が手を出しやすい価格帯がこちら。
中価格帯(2~5万円)
家庭用エスプレッソマシンとして、比較的ストレスなく使っていけるようになるのはこのあたりの機種からかと思います。
高価格帯(5~10万円)
この価格帯は、わりと「空洞化」している価格帯です。該当するマシンの数が少ないです。
ハイエンド機種(約10万円~)
ここから先の機種は、確かに高価ではありますが、その性能はどれも満足度の高いものばかりだと思います。