レベリング(Leveling)は、レベル(水平)の意のとおり、ドーシングで盛って山になったコーヒー粉の表面を、水平にならす作業です。
↓
やらない人もいますが、行ったほうがその後のタンピングがやりやすくなりますし、ディストリビューション(バスケット内の粉の均一分配)の仕上げにもなります。
また、レベリングをすることで最終的な粉の計量(バスケットのすり切り一杯を計るなど)を行う場合は、必然的に行うことになります。
逆に言えば、レベリングを行わない場合は、その前のドーシングの時点で、粉量がきちんと計測されている必要があります。
やり方としては人により様々です。指の腹部分を使う人もいますし、人差し指と親指の間を使って、円運動のように行う人もいます。箸のような棒を使って、水平にならす人もいます。手のひらで、トントンとフィルターを叩いて平らにならすだけの人もいます。
また、専用の器具を使うことで完璧な水平を取る人もいます。
要点としては、
- 余計な力は加えない
- 表面を水平にならす
- スムーズにテンポよく行う
の3点です。この3つの要素をクリアできるなら、どういったやり方でもいいと思います。
「スムーズにテンポよく」というのは、作業に時間がかかってしまうと、フィルターの熱がエスプレッソの粉に伝わり、コーヒーの風味が落ちてしまうからです。
具体的な手順の一例を挙げると・・・
- まずハンドルをしっかり持ち、指で手前から奥に向かって、粉を水平にならしていく
- 今度は奥から手前に向かって、粉を水平にならしてくる
- 最後に、手前から奥に向かって粉をすり切り、余分な粉があればチャンバーに戻す(チャンバーがないタイプの場合はノックボックスなどに捨てる)
- ポルタフィルターのリムと羽の部分に残った粉を綺麗に払う
という流れです。
3の段階で捨てる粉量が多い場合は、ドーシングで粉を盛り過ぎているということになります。盛りすぎはコーヒー豆のロスに繋がります。店舗であれば原価に影響してしまうポイントですので、ドーシングの見直しを行いましょう。
レベリングの動画を掲載しております。
ちなみに現在、日本バリスタ協会が推奨するオペレーションでは、レベリングは指を使ってすり切る方法ではなく、手のひらでフィルター側面を「トントン」と叩いて平らにならす程度のレベリング方法です。
これにはいくつか意味合いがあるのですが・・・
まず一点目は「オペレーションスピードのアップ」。レベリングで「すりきり計量」をしていると時間ががかる、という理由です。
二点目は、「粉を指で触らないようにするため」。これは、周りに粉を撒き散らさないようにする為と、食品衛生的観点の2つの側面があります。
三点目は、「ドーシング時にきちんと粉量の計量を済ませてあるので、すり切る動作で計量を行う必要がない」という理由からです。
しかしながらドーシングの項目でも言及した通り、ドーシングで粉量の完全な計量が出来ていない時は、レベリングでそれを行う必要性から、「(指や道具を使って)すり切る」という動作は必要かと思います。
バリスタ協会推奨のオペレーションは、あくまで店舗でのスピーディーかつ円滑なバリスタワークを前提として組まれていますので、家庭や、あまり杯数が出ないカフェなどにおいては、それが最適かというと、一概にそうとは限らないと思います。