エスプレッソマシン、グラインダー、タンパー、ピッチャー以外にも、様々なバリスタツール・アクセサリがあります。
新しい商品も続々と出てきています。全てが必要なわけではありませんが、あると便利なものや、単純に持っているとカッコイイ(笑)というものまで色々です。
直火式エスプレッソメーカー
直火式のエスプレッソメーカーとしては、「マキネッタ」がその、圧倒的代表選手です。
特に、イタリアでは「モカ」の名前で親しまれている「ビアレッティ」社の製品はマキネッタの代名詞的存在で、エスプレッソマシンがなくても、直火でエスプレッソを淹れることが可能です(正確には、エスプレッソではなく、このビアレッティで淹れたコーヒーは「モカ・コーヒー」と呼びます)。
手入れの際は、けして洗剤では洗わず、さっとゆすぐ感じ。そうしてエスプレッソがマキネッタに馴染んでいくことで、おいしいエスプレッソが淹れられるように、マキネッタを「育てて」いく使い方が、イタリアらしさを感じます。
ちなみにビアレッティにはこの、「ブリッカ」という改良型機種が存在します。
ブリッカには圧力弁が内蔵されており、綺麗なクレマを持ったモカ・コーヒーを淹れることが可能です。新しく買うなら、断然ブリッカをオススメします。
長くマキネッタ一強だった直火式エスプレッソメーカーですが、最近ちょっと面白い商品が出てきています。
シチリアの職人が作っているKamira(カミラ)です。ポルタフィルターの中に粉を詰めて、エスプレッソを抽出する、わりと本格的な作り。フィルターは1杯用、2杯用がセットになっている凝りようです。見た目もかわいいので、案外ヒット商品となるかもしれませんね!
直火式エスプレッソメーカーのいいところは、持ち運びも可能なので、アウトドアなど場所を問わずにエスプレッソを飲めることですが、コーヒーの抽出は可能ですが、ミルクを上記で泡立てることは出来ないので、カプチーノを飲もうと思うと、ちょっと無理があります。 しかし、そこでスチーム機能も付けてしまえ!と、直火式メーカーにスチーム機能を持たせてしまった画期的商品です。
エスプレッソを抽出した後に残った湯で、スチームを作ります。実はイタリアの企業が50年以上前にデザインしたもので、今は台湾のメーカー(ベルマン社)が製造を一手に担っているロングセラー商品です。
僕自身まだ持っていないので、もし持っておられる方がいましたら、是非レビュー報告ください(笑)。
これら直火式エスプレッソメーカーは、ガスコンロでも使用可能ですが、こういったガスバーナーがあると、卓上やアウトドアでも使用可能です。
こちらの商品はコーヒー用として作られており、専用スタンドもセットになっているので、お買い得だと思います。サイフォンで淹れる時は、一番下のゴムマットを取り外すとピッタリ入ります。
直火式メーカーを直接ガスコンロに乗せて使う場合は、こういったバーナープレートを五徳の上に置くことで、安定してエスプレッソメーカーを乗せることができます。
その他抽出器具
エスプレッソ・ラテアートをメインテーマに扱っている本サイトですが、通常のコーヒー抽出器具もご紹介します。
ドリップ
まずは、「ドリップ」と呼ばれる、現在日本で一般的に「ホットコーヒー」と呼ばれるものを抽出するのに、最もよく行われている手法。
漏斗状の道具(フィルターホルダー)にフィルターをセットし、ここにコーヒーの粉を入れ、お湯を濾過させて、コーヒーを下に置いたサーバーに抽出するという、シンプルな手法です。 このフィルターにはネル(布)、ペーパー(紙)、そして金属の3種類があります。
ネル(布)は、コットン・フランネルという木綿で出来た生地をフィルターに使った方法です。
ネルのフィルターは最も管理・扱いに手間がかかり、技術が必要とされますが、その分、抽出において最も個性を出しやすい方法とも言われています。コーヒー会の大御所と呼ばれる人たちが沢山採用されている方法ですね。口当たりがまろやかな味のコーヒーになる特徴があります。
ペーパードリップーは、こういった陶器などのホルダーに、紙のフィルターをセットして抽出します。
メーカーによってホルダーに開いた穴の数や形状に微妙な違いがあり、それによってまた個性が出ます。 抽出後のペーパーはそのままゴミ箱へポイで済む圧倒的な手軽さが魅力です。また、抽出の均一性も高いので、複数の人間が抽出を担当する店舗なんかだと、一番ブレがないという理由から採用することも多いです。。
金属フィルターは、ここに直接コーヒーを入れます。抽出後のカスの掃除が若干大変ですが、ネルやペーパーに比べて目が粗いので、コーヒーオイルがそのまま抽出液に出てきます。そのため、オイル分に最も溶け込みやすい香気成分が一番よく感じられるので、香りが生きる抽出と言えます。
コーヒーの微粉が抽出液に落ちやすいので、ミルの品質が悪かったり挽き目が細かったりすると、抽出液が粉っぽくなったりします。こういう時は、茶漉しなどを使って予め微粉を取り除いてから抽出すると緩和します。
フィルターはステンレスの他、少し値段は張りますが、純金メッキのものもあります。
ゴールドフィルターは、香り移りや味移りがないのでコーヒーの味そのものを楽しめ、コーヒーを酸化させにくくする効果もあると言われます。
ドリップを行うために不可欠なのが、ドリップポットです。
普通のヤカンではだめなのかというと、ダメではありませんが、美味しく淹れようと思うと、お湯の滴下を細かくコントロールできる専用のポットが段違いに使いやすいです。
定番商品は、このカリタのドリップポット。喫茶店やカフェでプロの愛用者も多いので、とりあえずポットで迷ったらこれをかっておいたら間違いはないかと思います。サイズもいくつかあります。
「点滴」とも言われる極細の滴下に最も向いていると思うのが、このタカヒロの極細ドリップポット「雫」。
真下に滴下されるので、狙ったところにお湯を落とすのがやりやすいです。サイズバリエーションもありますが、それ以上に実はカラーバリエーションが豊富でびっくりします。
ちなみに、木組みの街のカフェを舞台にした某漫画の登場人物のお父さんの名前が「タカヒロさん」なのですが、個人的にはこのタカヒロから来ているのではないかと思っています。
サイフォン
ご存じ、純喫茶のシンボルともいえるサイフォンです。
こちらのハリオは、エスプレッソサプライも多く扱っている、もともともはガラス製品の製造から始まったメーカーです。 今やコーヒーのジャンルではメジャーメーカーで、競技会用のサイフォンも製造している、高い品質評価を得ている会社です。
このモデルは、最もスタンダードなモデルで、コストパフォーマンスの良さで多くのユーザーから愛されています。
ボンマックは、日本でエスプレッソマシンの輸入販売代理を広く手掛ける、ラッキー・コーヒーマシンの自社ブランドです。
こちらの製品はゴールドのメッキが美しい、飲食店映えするスタイルです。 実は製造はハリオが行っていますので、品質はハリオと同等、デザインの違いと認識して頂いて問題ありません。
パッと見て何かの実験器具のように見えるこのコーヒーメーカーは、れっきとしたサイフォンです。
通常のサイフォンが縦にフラスコを二つ重ねたような形状をしているのに対し、このDiguoの帝国二代目ベルギーコーヒーメーカーは、横に二つ並んだ天秤型サイフォンという珍しい形です。クラシカルな雰囲気と、独特の面白い動きで、コーヒーを淹れてくれる、飲食のインテリアとしても十分に通用する一台です。
サイフォンを温める熱源は、大きくわけて3つあります。
一つが、元祖ともいえる「オイル」を使用したアルコールランプ。 二つ目が、直火式エスプレッソ抽出器具の所で紹介した、「ガス」を使用するガストーチ。 そして三つめが「電気」を熱源とする、このハロゲンランプです。
湯が沸くのが早い、火力調節が簡単、保温もできて見た目も美しく、そして安全とすべてにおいていいことづくめです。強いて問題点を挙げるとするなら、電源がない屋外では使えないことと、値段が高いことぐらいです。
フレンチプレス
本来はフランスで流行したコーヒー抽出器具なのですが、日本では紅茶用として広まったため、長らくコーヒーで試用されることが少ない状態できていました。
フレンチプレスは、ペーパーやネルのドリップのようにコーヒーの脂分を漉しとらないため、抽出液にコーヒーオイルがそのまま浮きます。 香りの成分はオイルに最も溶け込みますので、フレンチプレスは、コーヒーの香りを最も楽しむことが出来る抽出器具ともいます。
近年、スペシャリティーコーヒーが新手等してきたことや、丸山珈琲さんが積極的に導入されていることで、広まってきたように思います。
エアロプレス
近年登場した新しいコーヒー抽出器具です。
フレンチプレスの「プレス」はフィルターを押し下げる動きの抽出ですが、エアロプレスのプレスは、大きな注射器みたいな道具で、手動で「プレス(圧力をかける)」することでコーヒーを抽出する、簡易エスプレッソのようなスタイルです。
少し練習すればとてもおいしいコーヒーをい淹れることが出来るようになります。
ダッチコーヒー(水出しコーヒー)
「ダッチ」はオランダのこと。旧オランダ領だったインドネシアで、エグ味が強かった現地のコーヒー(ロブスタ種)を美味しく飲むために考え出されたといわれています。
コーヒーは、あまり高温で抽出すると、雑味や過剰な苦みまで一緒に抽出してしまいます。そこで、水出し、つまり低温で時間をかけてゆっくりと抽出をすることにより、クリアで切れ味のいいコーヒーを抽出することが出来ます。「コーヒーの旨み成分を最もよく抽出する方法」と断言するマニアもいるほどです。
また、水出しコーヒーは酸化しにくいため、冷蔵庫で数日保存しても美味しく飲むことが出来るので、アイスコーヒーにピッタリです。
もともとは、このような大型の器具が飲食店向けに作られていました。上から点滴のように水をぽたぽたと落として、数時間かけてコーヒーを抽出します。
現在は、家庭用にこのような簡易サイズのものも作られています。(もっと簡略化したければ、フレンチプレスで淹れる人もいます) 普段のコーヒーが一回りマイルドに仕上がるのがダッチコーヒーの特徴です。 是非一度お試しください。
ノックボックス
店舗でスムーズにバリスタワークをするなら、必須アイテムだと思います。
シンプルなものから、インテリアとしても美しいものまで色々あります。適度なサイズがない場合や置くスペースが無いは自作される方もいらっしゃいます。 ご家庭では必須アイテムというわけではありませんが、もしご購入される場合は、安定した場所に設置してください。不安定な台の上で「ドン」とポルタフィルターを叩きつけるのはとても危険です。
タンピングスタンド(マット)
店舗オペレーションでは作業台の角(端)でタンピングする人も非常に多いですが、僕個人とては水平を取りやすいので、スタンドは あると便利なアイテムだと思っています(特にまだ慣れないスタッフにとっては優しいと思います)。
作業台の上で直接タンピングするのは、衛生的な意味でも行うべきではないと考えます。 特に店舗であれば、ステンレスの作業台があるわけですが、家庭だとなかなかそういわけにもいきません。机の角でやると机に傷がつきますしね。 タンピング「スタンド」のものもあれば、ゴム板状のマットもあります。
ハンディーフォーマー(ミルクフローサー)
100均でも購入できますが、このようなメーカー品も市販されていて、ミルクを攪拌する際に使う専用の容器が付属していたりします。もちろん、本体のみのものも販売しています。
100均のフォーマーとの一番の違いは、モーター自体のパワーと寿命です。
全体的に作りもしっかりしています。 エスプレッソマシンだと、スチームで「ミルクを温めながら泡立てる」ことができますが、フォーマーには「泡立てる」機能しかないので、「温める」作業はまた別の工程(電子レンジや手鍋で温める)を経ることになります。しかしエスプレッソマシンですと、やはり少なくとも1万円ぐらいはしますので、「とりあえずラテアートやってみたい」という人は、初期投資の手軽さから、ここを入口にされる人も多いと思います。
エスプレッソマシンを置くスペースがないというカフェの方が、これでカプチーノを淹れられていることもあります。 「ミルクを温める・泡立てる」という2工程が必要な分、時間はかかってしまいますのでラテ系ドリンクの出数が多い店舗には向きませんが、ハンディフォーマー使って極上のミルクを作り、とても繊細なラテアートを描いている人を何人も知っていますので、全く侮れません。ご家庭でラテアートを作る分にはまぎれもなく選択肢の一つです。
ちなみに、「温める」機能もついた電動(全自動)フローサーも販売されていますが、こちらは微妙な泡の調整ができません(カプチーノ用、カフェラテ用、ホットミルク用など、3段階ぐらいしか調節できない)。単にふつうのカプチーノやカフェララテを淹れるにはとてもお手軽便利ですが、こと「ラテアート」に適した泡作りが出来るかというと、若干厳しいかなという感じがします。
ラテアートピック
爪楊枝や竹串などで代用しても全く問題ありません。持っているとカッコイイなというアイテムです。
カウンタースタイルのお店で、エッチングでラテアートを描く作業をお客様に見ていただく場合なんかだと、あると見栄えがいいのかなぁとも思いますが、その太さが自分が描きたい絵柄に合うかどうかは、使ってみないと分からないです。
ステンシル
様々なタイプのステンシルが販売されています。
飲み物以外にも、デザートの皿デコやクッキー作りとかにも使えるので、実はアイデア次第で応用範囲広いと思います。 自作してもいいですし、複数の種類のステンシルを組み合わせて一杯を作るのも手です。
パウダーシェーカー
ステンシルのラテアートを作るなら持っておきたい道具です。
100均で茶漉しを購入して代用してもOKですが、無駄粉が減るのと、片付けも楽ですし、そんなに高いものでもないので、ひとつあると何かと便利です。
ココアパウダーの他、粉砂糖、コーヒー粉、抹茶パウダー、シナモンなどを振ることも出来ますので、アレンジドリンクにも役に立ちます。
シロップ・食紅
エッチングの際、ベース線をくっきりと引いたり、幾何学模様を作る時に便利なチョコレートシロップ。
コーヒーや牛乳との相性自体も抜群にいいので、カフェ・モカ風や、アイスカフェラテなどのアレンジメニューでも抜群のお役立ち品です。 メーカーによって粘度が様々なので、使い心地や味の好みも違ってきます。個人的には、ハーシーズの製品が伸びがよく、使いやすいと思います。 内容量で623gと260gの2種類があります。
開封後も常温保存が可能ですが、あまり時間が立ちすぎると水分が飛んで粘度が上がってしまいますので、自分の消費サイクルを考えて購入サイズを選ぶといいと思います。
シロップワークで幾何学模様を作る際、このようなキャラメルシロップを使っても、また変化が出ます。チョコレートシロップと併用しても面白いと思います。 ティーラテアートなどをする際は、紅茶の繊細な風味がチョコレートだと消えてしまうので、キャラメルの方が味の相性がいいと思います。
【NEW!】
モナンから新発売された、「ラティスト」という、ラテアート用のチョコレートシロップです。
【NEW!】
モナンから新発売された、「ラティスト」という、ラテアート用のキャラメルシロップです。
こちらに、使用レビューを記載しています。
フルカラー・ラテアートに便利な、製菓・料理用の食紅。
シロップよりも結果的にコストが安く上がることと、ベースとなるドリンクの味に影響を与えずに色を付けることが出来ます。最低限だと、赤・黄色・青の基本3色があれば、どの色でも混色で作ることが出来ます。
シロップを使用する際は、フランスのMONIN(モナン)社のシロップが発色がよく、お勧めです。
シロップを使用するとカフェ感が出ます。味と香りがありますので、フレーバーコーヒーのような楽しみ方も出来るでしょう。
アイスカフェラテなどに加えることで、見た目の面白さだけでなく味にもバリエーションを付けることができます。「食紅は嫌だからなんとなくシロップの方が・・・」という理由でシロップを選んでいる人もいますが、残念ですがシロップも結局は色素による着色なので変わりません(苦笑。 沢山の種類がありますが、赤(ストロベリー)、青(ブルーキュラソー)、緑(抹茶)の3色が使い勝手がいいです。
いずれもノンアルコールのシロップなので、お子様にも安心です。
コーヒー用ドリップスケール(デジタル秤)
コーヒーの粉量や抽出量を0.1g単位で測ることが出来る、ドリップスケールです。
「通常のデジタル秤ではダメなのか?」というご指摘もあるかと思いますが、「0.1g単位計量」という細密な計測が出来ることがまず一点。エスプレッソの粉量は通常シングルで7g程度ですので、1g単位計量スケールですと、たとえば7gと表示されていても、それが6.6gなのか7.4gなのかでは、1gの誤差が出てしまいます。7gの中の1gの誤差というは15%近いわけですから、大変な違いです。
二点目は重量の表示反応が早いこと。これは、抽出中に常に重量が変化する状況で、抽出量をオンタイムで判断するのにとても重要なことです。
最後に、下記で紹介するドリップスケールは、抽出量と抽出時間を同時に計測出来ること。つまりストップウォッチ機能も付いているということです。エスプレッソでは20秒~30秒の間で安定した抽出時間が望まれますので、抽出時間を測ることは重要です。
以上3点から、やはり購入するなら専用のスケールがいい、といえます。 エスプレッソに限らず、コーヒーの抽出に重要なことは、常に安定した抽出を行うということです。達人の域に達すれば勘や経験で出来る部分も多いのでしょうが、それは一朝一夕で身につくものではありません。はじめのうちは、きちんとした数値で体に染みこませていく事が大切です。 そのため、基本となるのは何グラムのコーヒーを使って、どれだけの時間をかけて何ml(何g)を抽出するのか?ということ。
それには、重量を正確に測るのが一番、というわけです。
コーヒーサプライのメーカー、ハリオが出しているドリップスケールV60です。
天板も大きいため、通常のドリップコーヒーの抽出にも便利です。 0.1g単位計測、抽出時間の同時計測という基本機能を満たした、コストパフォーマンスに優れたモデルです。 エスプレッソにおいてももちろん抽出時間は重要な要素ですが、ハンドドリップによるコーヒー抽出だと、抽出過程に「蒸らし(第一湯のあとに湯をなじませる時間)」が必要なため、特に時間を測ることは重要です。
そのため、サードウェーブコーヒーの店舗なんかだと、こういったツールを導入している所が多いと思います。
上記ハリオV60の上位機種、VVSTMです。
基本的な機能はV60と同じなのですが、天板がステンレスになり、清掃がしやすくなったこと。断熱性が上がったことで、熱による計量誤差が少なくなったこと。表示パネルが液晶からLEDバックライトに変わったことで見やすくなったこと。電源が、乾電池からUSBケーブルによる充電式に変わったことなど、随所にバージョンアップが見られます。
抽出に「蒸らし」を必要とするハンドドリップの世界では、時間を一定にさせることは重要なポイントでした。
登場時、コーヒーの抽出における革命的ツールとまで言われた「Acaia(アカイア)スケール」。 特にその、高い評価を受けた点が、「重量の表示反応速度が早い」(応答性・感度)ことと、「抽出レシピ機能」です。
ちなみにこの応答性は感度設定が出来ます。あまりに感度が良すぎると煩わしいということでしたら、あえて感度を下げることも可能です。
「抽出レシピ機能」は、スマホやタブレットにダウンロードしたアプリと連動させることで、ハンドドリップ時に、設定した蒸らし時間が来たら教えてくれたり、抽出量に達したら教えてくれたりといったガイド機能です。アプリは常にバージョンアップされていますので、エスプレッソだけではなくハンドドリップも楽しむという方には、とても有用なツールだと思います。 こちらはメーカーの使用動画です。
動画を見ても分かると思うのですが、本体側の数値表示は本体色が白であることもあって、非常に読みづらいです。これはマイナスポイントと言えます。
アカイアは、何らかの電子端末と併用することが前提の使い方をするべきでしょう。
また、値段が高額であることもユーザーを選ぶところです。積極的に導入されているブルーボトルコーヒーさんのような店舗であれば、従業員ごとの抽出ムラを無くすには とても効果的なので、費用対効果は高いと思います。
上記アカイアスケールの色違い、「ブラックーパール」です。
機能は同じです。色が違うことで値段が上がっているのは、この色で作る方が製造コストがかかるからだそうです。 「ブラックパール」の長所は、上記「パール」での欠点であった、本体の表示が見やすくなっています。
ただ、購入に際して一点気をつけなければいけないことがあります。これは上記「パール」でも同じなのですが、 本体側で、「時間表示」と「重量表示」を同時に表示させた場合、重量表示は0.1g単位の表示ではなく、1g単位の表示となります。(あくまで本体の話で、アプリでは0.1g単位表示です) 時間表示を無しにして、「重量表示」のみとした場合は0.1g単位で表示できますが、そうすると時間表示がなくなるので、もし時間計測したければ別途タイマーとかスマホアプリで時間を測ることに(←だったら最初からアカイアのアプリ使えばいいよねって話になります)。
なので、現実的な話として、このアカイアを本体のみで使用するのであれば、 ① 重量のみ表示モードで、コーヒーの粉を計量する(0.1g単位計量) ② 重量・時間両方を表示するモードに切り替える ③ 抽出(抽出時であれば、1g単位計量でも差し支えない) という流れになると思います。
やはり、アプリ使用を前提としたツールであり、それでこそ真価を発揮できるツールであることは頭に入れて置いた方がいいと思います。
いよいよ真打登場、エスプレッソ用のアカイア、「Acaia Lunar(アカイア・ルナー)」です。
この機種の凄いところは以下のとおりです。
① エスプレッソマシンに設置可能な小型・薄型サイズ。 ハリオのV60は(横12cm 縦17.5cm、高さ3.1cm )、アカイア・パールとブラックパールは(横16cm×縦16cm×高さ3cm)。対してルナーは(横10.5cm 縦10.5cm、厚さ 1.5cm )。ハリオやアカイアの他の2機種では奥行き(縦)がありあすぎて、つっかえてしまいますが、ルナーなら本体がピッタリ乗っかります。
② 全面が金属製による耐熱性、そして完全防水。スチームやエスプレッソがかかっても大丈夫、水没させても乾かせば動作するタフさは驚きの一言です。
③ エスプレッソ抽出に最適なアプリが使用可能。従来のアカイア・アプリも使用可能なので、ハンドドリップにも対応。
④ アプリも使えるが、あくまで本体のみでの使用が前提となっており、時間・重量の両方を表示させるモードにおいても重量は0.1g単位計測が可能。
⑤ さらには、重量のみ表示モードなら、0.01g単位計測が可能。
⑥ 全部で5つのモード。 モード1: 重量計測モード(重量計測単位は 0.01gまで設定可) モード2: 時間・重量 計測モード(重量計測単位は0.1g) モード3: 時間・重量 計測(重量計測単位は0.1g)で、自動開始モード(抽出が開始されてエスプレッソがカップに流入するなどの重量を感じたら自動でタイマーがスタート) モード4:モード3のバリエーション。カップを置いた時にいちいちゼロリセットを押さなくてもOKなモード。置いたカップに重量を感じたら自動でタイマーがスタート。 モード5:モード4のバリエーション。カップを置いた時にいちいちゼロリセットを押さなくてもOKで、かつ、カップを置いた時にタイマーがスタートする。 このモード5を使って、「ポルタフィルターをセットする」→ 「カップを置く」→「次の瞬間にマシンの抽出スイッチを押す」を行えば、ほぼ誤差なく、抽出における時間と重量変化をオンタイムで表示させることが可能です。
エスプレッソ抽出に関して言えば、「モード1」と「モード5」の2モードで一通りの作業が対応可能かと思います。 高価なのは間違いありませんが、エスプレッソ抽出において重要な「再現性」を突き詰めて考えると、現在、バリスタチャンピオンシップなどで、競技者がこのアカイア・ルナーを積極的に導入しているのも納得出来ます。
温度計
これは、ミルクスチームをこれから練習しようというひとは絶対買ってほしいと個人的には思うアイテムです。ご自宅に調理用温度計があれば、それで代用してもOKです。 (ただしガラス製は割れると危ないのでオススメしません)
ミルクのフォーミングにおいて温度というのはとても重要な要素です。美味しく美しいミルクフォームを作りたいと思うなら、必ず練習の最初の段階で温度を体に覚えこませるようにしましょう。 「既にミルクのスチームをやっているけれどうまくいかない、そして温度を測ったことがない」というひとは、是非一度温度を計られてみるといいと思います。そこが解決の糸口になるかもしれません。
コーヒーメーカーが出しているアナログタイプの温度計もありますが、反応速度が速いので、やはりデジタルがお勧めです。アナログ式は表示を見やすいメリットがありますが、表示温度をスチーム後にデジタルで計測すると5度~10度違う、ということもあります(つまりアナログの表示が遅れているということ)。
コーヒー濃度計
相当マニアックな商品です。抽出したコーヒー(エスプレッソ)の濃度を、数値化して読み取ることが出来ます。
本体上部にあるプリズム部分にコーヒー液のサンプルを入れて測定します。 具体的には、「Brix値」(糖度)を%表示することで「甘み」。 「TDS値」(不純物総溶解度)を%表示することで、コーヒー液中に含まれる成分、つまり「濃度」。 そして「温度」の3つを計測してくれます。
専用アプリ「MY COFFEE RECIPE」を併用することで、データ管理を行うことができます。 我々が普段感覚的に言っている「濃い」「薄い」「抽出オーバーやアンダー」を、視覚化してくれるツールです。
ことエスプレッソに限って言ってしまえばそこまでの必要性を感じないかもしれませんが、サイフォン、フレンチプレス、エスプレッソ、ハンドドリップ、エアロプレスetc…、コーヒーは抽出器具や抽出方法によって様々な選択肢があります。ひとつの豆に対して、どういう方法を取るとどういう結果が出るのか、ということを、抽出方法ごとに科学的に結果測定することで、「その豆に対するベストな抽出方法を探る」というアプローチができます。
コーヒーを淹れることを趣味として考えた場合、この作業はとても楽しいものです。豆に対する理解も、より深まることでしょう。
ショットグラス
あると便利なアイテムです。必需品というわけではありませんし、営業の中でお客様の目に触れるものでもありません。エスプレッソの抽出具合を確かめるのに便利です。
ガラス製だと、横からみるとクレマの具合がよくわかります。陶器のカップだと、どうしてもクレマの厚さまでは確認できませんからね。。。そのバランスを見て、豆のブレンド比率を考えたり、グラインダーのカリブレーションを行ったりします。 目盛り付きなら抽出量も一目瞭然です。
ディストリビューター
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こちらはバリスタ選手権世界チャンピオンのササ・セスティックが使用したモデルの最新型です。 同じ機能のものも他メーカーから販売されており、今、選手権では殆どのバリスタが同様のツールを使用しています。
ピッチャーリンサー
これは完全に店舗向けアイテムです。自宅に設置するのは狂気の沙汰か、よっぽどお金が余っている人です(笑)。
簡単に言えば、ピッチャー専用の洗浄機です。羽状のホルダーに上から逆さまにピッチャーを押し当てると、強力なスプリンクラーが回転してピッチャーをあっという間に洗浄してくれます。 (このように使用する道具です)
専用に電源と水源と排水を繋ぐ必要がありますが、店舗に関しては、特に忙しい店なら 設置すると「超便利」だと思います。一度使ったら手放せないかも…。 うちの店ぐらいの忙しさなら、手洗いで十分です(笑)。
デコラッテ
アイテムというかアクセサリというか、微妙ですが、最近出てきた「ラテアートシート」というやつです。
あたたかい飲み物の上にシートを乗せるだけで簡単にラテアートになるという・・・、極論、ただのホットコーヒーの上に乗せてもいいので、もはや「ラテ」すら関係ないアイテムです。 話のタネに一度見てみるのもアリかもしれません。バリスタという職業の人に賛否を伺えば、圧倒的に「否」が多数でしょう(笑)。 しかし例えばですが、「オーダーメイド・ラテアートシート」というサービスを始める会社が出てきたら、それはそれで面白いかもなぁと思ったりします。たとえば車のディーラーさんなんかが、週末のイベントデーに車のラテアートシートで飲み物出したりしたら喜んで頂けるでしょうし、個人向けならギフトなんかにウケそうじゃないですか(笑)
結婚式の引き出物や、子供が生まれた時の名披露目なんかにも面白いでしょうね。ラテアート関係なく、いちドリンクアイテムとして。 ご家庭で、仕事からぐったり疲れて帰ってきた時に、エスプレッソマシンを起動して冷凍庫から豆を出してグラインダーで挽いてミルクをスチームして・・・とやるよりは、インスタントラテの上に一枚のシートを浮かべるだけで癒されるのであれば、それもまた選択肢なのかなぁとも思います。
楽なもの、安易なもの、本格的でないものを否定することは簡単ですが、それによって幸せになる人がいるのなら、ひとつの形なんじゃないでしょうか、と思ったり。 (さすがに店舗でお金を頂いて出すものとしては、どうかなと思いますけども。)