3Dラテアートとは
フォームドミルクというより、ふわふわの「ミルクフォーム(泡)」を作り、それを盛り付けることによって「高さ」を出したラテアートが3Dラテアートです。
もともとネットで幾人かがやっていたのですが、「3D」という語感の良さも相まって、ここ数年で一気に浸透しました。
そのインパクトの大きさは、飲み物であるということを超えてひとつのエンターテイメントだと思います。アイスラテなどの冷たいドリンクにも応用が可能なことも魅力の一つでしょう。
一方で「飲み方が分からない」「高さを出しすぎると飲み物としてのバランスが崩れる」、「上の泡の部分が美味しくない」「そもそも飲み物なのか?」といった意見やマイナス要因もあるため、一長一短です。賛否両論があることは事実なので、出すお客様のニーズをきちんと見極める必要はあると思います。
特に視覚効果が高いことから抜群の「SNS受け」「インスタ映え」を持ち、店舗にとってはキラーコンテンツとなり得ますが、提供にはある程度の時間がかかることも頭に入れておきましょう。
個人的には、店舗で出す商品というよりは、家庭で楽しむ方が向いていると思います。
因みに、「ある方法」を使うことで、簡単かつ短時間で劇的に優れた泡を作ることが出来ます。
「ある方法」については、こちらのラテアートマニュアルにて公開しています。
3Dラテアートのフォーム作り
3Dラテアートは、まず「上に盛り付ける泡」を作るところからスタートします。
上に盛り付けてある泡の正体は、「水分を抜いて比重を軽くした泡」です。
手順は、ミルクをスチームする際に、普段より空気を多めに取り込みます。通常、元のミルクの体積を1としたら、カフェラテなら1.2~1.3。カプチーノなら1.4~1.5程度になるまで空気を含ませます。3D ラテアートの場合は、1.8~2倍ぐらいまでボリュームアップさせます。
(あまり含ませすぎても、スカスカで割れやすい泡になるので注意)
気を付けたいのは、通常より空気を入れると言っても、粗いボコボコの泡でボリュームアップさせるわけではありません。大きなボコボコの泡はすぐに割れてしまいます。あくまでキメ細かい泡を作る延長で、通常より多くの空気を含ませることが大切です。
仕上がり温度は通常のミルクフォーミングが60℃前後が多いのに対し、70℃程度まで上げると、しっかりした硬めの泡に仕上がります。乳性タンパク質の熱変性温度である72℃以上になると泡が壊れやすくなりますので、これは超えないようにするのがポイントです。
十分に泡立てたら、蓋をしてしばらく静置します。
時間にして8~10分。
この間に、ミルクに含まれた水分が自重で沈み、上の方にメレンゲのような、比重の軽い ふわふわの泡(フォーム)が出来ます(以下、これを「3Dフォーム」と呼びます)。
蓋をしなければ水分の抜けは早くなりますが、温度低下によって若干割れやすい泡になります。
「泡立てたピッチャーのまま5分 → 上のモコモコ泡部分だけを別容器に移し替えて4分」というように、途中で容器を変えることで、より効率的な水分抜きを行う方法もあります。この方法は水分の抜けが良くなるので、より早く固い(締まった)泡が出来ますが、洗い物が増えるというデメリットがあります(笑)
水分抜きの時間は、色々と工夫をしてみるといいかと思います。
大きな3Dラテアートを作るなら、水分抜きに長い時間を必要としますが、少しだけ盛り上げる程度であれば、比較的短時間で必要な分の泡を作ることが出来ます。
以下、3Dラテアートの泡づくりの動画を掲載します。ご参考にどうぞ。
※ 同じ要領で、空気を多めに入れて泡立てた後に時間を置けば、ミルクフローサーでも同様の泡を作ることが可能です。
3Dラテアートの仕上げ
こうして「3Dフォーム」を作ったら、3Dラテアートの仕上げです。
まずは土台となるドリンク(ベースドリンク)の準備です。土台にはカプチーノのような、しっかりしたものが安定感があって向いています。
エスプレッソを用意し、フォームドミルクを泡立てます。
そう、3Dラテアートの場合、最初に3Dフォームを作るために温めたミルクは既に冷めてしまっているので、ベースドリンク用に2回目のスチーミングを行う必要があるのです。
1杯作るのに手間が多いことや洗い物が増える点、使用するミルクの量が多いことが、店舗で提供する際のネックですね。ベース用のフォーミングは、空気をしっかり含んだ固めのミルクを作ると、上に3Dフォームが乗せやすいです。
そしてポイントは「カップのギリギリまで注がない」こと。
土台の上に3Dフォームを盛り付けると、重さで押されてベースドリンクの液面が上昇するので、ギリギリまでベースドリンクを注ぐと、カップから溢れてしまうからです。
土台が出来たら、その上に2本のスプーンを使って「盛り付け用フォーム」を乗せていきます。
スプーンでくるくるとボール状のフォームを作っては積み上げるイメージです。あまり何度もいじらずに、泡に触れる回数を少なくすることがポイントです。
3Dフォームである程度の形が出来たら、ベースドリンクのスチームで残った泡を使って、3Dフォームの表面を綺麗にします(僕は「化粧泡」と呼んでいます)。
状態がよければ、3Dフォームを作ったピッチャーの、底の方にある泡を使ってもいいでしょう。
ファンデーションのような感覚ですね。
3Dフォームは水分を抜いた結果、表面が粗い泡になってしまっているので、ここにチョコレートシロップを乗せると泡が大きく割れてしまってボロボロになってしまい、線が引けません。
そこで、キメの細かい「化粧泡」でコーティングすることで、表面をキメ細かい状態にし、シロップを受け止めらる下地を作ります。化粧泡を沢山乗せすぎると、重みで3Dフォームが沈んでしまいますので、ファンデーションの盛りすぎには注意しましょう。
あとはチョコレートシロップ等を使って、仕上げて完成です。
アイスドリンクの場合も同様ですが、最初に3Dフォームを乗せるための「土台」を、同じく3Dフォームで作ってあげると、安定して作業が出来るようになります。上に乗せた泡が、氷が揺れることで崩れてしまうこともありません。
この方法は、ホットのドリンクで使うときも応用可能です。複雑な3Dラテアートを作るときに使えるテクニックです。
3Dラテアートはあまり細かい絵柄は向いていないので、動物のようなシンプルなものがいいと思います。
ちなみに3Dラテアートの飲み方ですが、僕自身もどうやって飲むのが一番いいのか長い間思いつきませんでした。
最近考えたのは、ストローを突っ込んで飲む、という方法です。
これだと、うまいこと下の液体部分だけが無くなっていくので、3Dフォームの部分は下に沈んでいきます。
なかなか可愛いですね(笑)。
下の液体部分を全部飲んだら、あとは砂糖をかけてスプーンでぱくぱく、という感じです。まぁ、飲み方に正解なんてないのですが、一つの方法としてご参考までに。
以下、3Dラテアートの仕上げの動画を掲載します。ご覧ください
3Dラテアートのテクニック
3Dラテアートは、高さが魅力のアートです。その高さを生かした絵柄を色々と考えてみましょう。
また、土台となるカプチーノにフリーポアやエッチングを施すことで、3Dをより効果的に見せる方法もあります。
単純に高さを出したい時は、たとえば細長いビスケットのようなものを土台ドリンクに入れて3Dフォームの芯棒を作れば、より高い盛り付けも可能です。