和田助製作所 ミルクフォーマーポット
サイズラインナップ: 400ml、600ml
系統:オリジナル(イタリアタイプとシアトルタイプを足して2で割った感じ)
重量:230g(400ml)、270g(600ml)
国産のピッチャーで、ちょっと変わったピッチャーがある。と、いい評判を聞いたので取り寄せてみました。
メーカーの名前は「和田助製作所」。商品名はミルクピッチャーではなく、「ミルクフォーマーポット」。
和田助製作所は、新潟県燕市に拠を構える、主に洋食器を生産するメーカーです。
「燕市」というところは、飲食業の人間ならカタログなどで目にした事もあるかもしれません。
新潟県県央地域は日本を代表する金属加工製品の一大産地で(中略)、とりわけ燕市はステンレス製品の加工業者が数多く立地し、特にカトラリーを中心とした金属製洋食器においては日本国内生産シェアの90%以上を占める。またプレス金型の製造業者が数多く(以下略)
(出典:wikipedia「燕市」)
要するに、テーブルウェアはお手の物。そのステンレス加工技術はメイドインジャパンの最高峰。というわけですね。
写真を見ればお分かり頂けますが、とにかく独特の形をしています。
まずぱっと目に付くのは特徴的なハンドル形状。階段状になっていて、これがどう影響するのか。
そしてボディと注ぎ口のフォルム。
今回購入したのは600mlの大きい方のサイズで、僕は自分が普段メインで使っている20ozを買うのと同じ感覚で注文しました。
・・・が、届いてみると・・・デカイ!!!
イタリア系ピッチャー「メプラ」の同サイズ帯である18oz(左側)と比べると、和田助製作所(右側)は明らかにデカイ!!
正確な容量を測ってみると、満水でメプラは550ml。和田助は、商品名こそ「600ml」ですが実際には750mlも入りました。
フォルムを見比べると、注ぎ口の嘴(くちばし)が突き出ている所がメプラと似ていて、イタリアタイプに近いことがハッキリと分かります。
しかし上から見てみると、
メプラ(左)に比べると和田助製作所(右)は、中央から注ぎ口先端までの距離が短い(つまり「突き出し幅」はそこまでではない)ため、ミルクピッチャーの動きをより繊細に注ぎ口に伝えることができ、フリーポア向きと言えると思います。
イタリア系とシアトル系の一番の違いは、「中心から注ぎ口先端までの距離感」ですが、この程度ならシアトル系を使っていたバリスタも、わりと早く扱いに慣れることが出来るのではないでしょうか。もちろん、イタリア系を使っていたバリスタであれば、より元々の感覚に近いことは言うまでもありません。
ボディフォルムは、
ラトルウェア(左)と並べると分かりますが、全体的に丸みを帯びたイタリア系よりも、むしろ円筒形に近いシアトル系と酷似しています。
つまり、まとめると、
フォームドミルクを注ぐ時の感覚はイタリア系(だが、そこまで嘴が突き出ていはいない)。
ミルクフォーミング時のミルクの回転などは、シアトル系。
と、ミルクピッチャーの2大系統を足して2で割り、さらに日本の技術・感性をプラスするという。いかにも日本のメーカーらしさ、すごいな(笑)。
より詳しく見てみると、まずは気になるハンドル(持ち手。)
普通にシアトル系バリスタがよくやるガチ持ちで握ってみる。上部の段差が扱いづらいんじゃないかと思ったが、実際は持ちやすくしっくりきます。
ペン持ちしてみる。これも問題ありません。
写真だと安定が悪いように見えるけど、このピッチャー、凄く軽いから大丈夫なのです。こんなに大きいのに、270gしかない(笑)。
( 因みにイタリア系のメプラの18ozは、僕が使っている脚無しタイプで360g、脚付きだと450gなので、それに比べるとダントツ軽い。)
指を開いてみたが、中指がしっかりハンドルにホールドされるので、これも案外持ちやすい。
手を突っ込んでみた。つまりハンドフリーのピッチャー みたいな持ち方ね。
これがまた、すっぽり手が入り、ハンドルの中に3本、ハンドル外に1本通すとバッチリ。すごいな。どんな持ち方でもできる。
次に、注ぎ口先端(嘴)を見てみる。
わりとしっかりとトンガっているように見える。
他メーカーと比較してみましょう。
メプラ(左)と並べると、和田助製作所(右)の先端のシャープさは歴然。
まさに「注ぎ口」という形状をしていますね。
デロンギなんかと比べるとまたえらくハッキリしますね。
ただ、断っておきますが、デロンギが悪いというわけではもちろんありません。
デロンギの、この形は、ピッチャー内の上の方にあるフォームドミルクと下の方にあるスチームドミルクのミルクの両方を渾然一体として注ぎ込むことが出来ます(そのためには、ある程度の太さのある注ぎが必要なのです)。なので、味という面で考えれば、デロンギの形状はきちんと考えて作られているわけです。
「注ぎ口は細けりゃ細いほどいい」という礼賛ではありません。
しかし、こと「フリーポア・ラテアート」という側面でみると、細い注ぎ口があったほうが、細かく繊細な絵柄を描くのに向いているということです。
この注ぎ口、よく見るとほかのメーカーの製品のように、ボディ部分との1枚板によるプレス成形ではありませんね。
ボディはボディ、注ぎ口は注ぎ口で、それぞれ別の板で成形されていて、それにハンドルの3つを合わせて作られています。
これは、他メーカーにはない唯一のものです。
だからかもしれませんね。ボディ部分がものすごく薄く作られており、それゆえに軽い仕上がりとなっているのでしょう。
上(メプラ)と下(和田助製作所)。ボディ部分に使われている材質の薄さが段違いです。
これだけ薄さに違いがあると、熱伝導性にも影響が出てくるかもしれません(いい意味です)。
もちろん、乱暴に取り扱ったり高所から落としたりしなければ、凹んだり歪んだりといったことはない強度です。
結論として、いや、日本のメーカーの技術力すごいな。と。心底思いました。
値段がこれまた、全然高くないんですよ。ラトルウェアより、ほんのちょっとだけ高いぐらい。
このクオリティなら、むしろ安いなぁって思いました。
もし今、ラトルウェアのようなシアトル系を持っていて、2本目を買うなら、和田助製作所、というのは選択肢かもしれません。
(もちろん1本目のチョイスとしても候補です)
ただ、サイズ600mlは、ぶっちゃけどう考えても大きすぎです(笑)。家庭用で使おうと思ったら、かなりの機種のエスプレッソマシンがノズル届かないんじゃないかな。。。。もしくは無駄ミルクが凄く沢山出てしまうかも。
業務用の、それもスターバックスのようなシアトル系の、大容量カフェラテを作る店舗向きですね。
家庭用なら、間違いなく400mlの方を買いましょう。僕も近いうちに400を購入しますので、そしたらまたサイズ感の違いを追記します。
和田助製作所 ミルクフォーマーポット400ml
和田助製作所 ミルクフォーマーポット600ml