フォームドミルクとは

 牛乳にエスプレッソマシンから出るスチーム(蒸気)を入れることで「温めながら泡立て」て、カフェラテやカプチーノに最適な粘度のある状態を作り出したものがフォームドミルクです。

 

 この「フォームドミルク作り」、すなわちミルクのスチーミングこそ、ラテアートビギナーにとって最大の壁かと思います。

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 「スチームドミルク」という言い方もありますが、現状、人によって表現のニュアンスが違い、両者の間に明確な定義はありません。

 

 ただ、傾向としてスチームドミルクは単に「スチームによって温められたミルク【つまり液体】」を指すことが多く、フォームドミルクは、スチーム等の方法(ミルクフローサーを含む)によって適切な温度に泡立てられた、「ミルクと気泡(フォーム)が混じった状態」を指すことが多いです。

 

 「バブル(泡)」ではなく「フォーム(細かい気泡が集まった状態)」の言葉が指すとおり、いかにキメ細かくツヤのあるミルクフォームを作ることが出来るかが、美味しいカフェラテやカプチーノを淹れられるか、ひいては綺麗なラテアートを描くことが出来るかの、最大の鍵です。

 

 

 ミルクは、乳脂肪分3.5%~4%の「成分無調整乳」を用意しましょう(種類別名称の表示は「牛乳」です)。

 

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 「乳飲料」や「低脂肪乳」などでも出来るのですが、エスプレッソと合わせた時の味のバランスを考慮すると、ある程度の乳脂肪分は必要です。脂肪酸は、風味や甘味、コクに影響してくる要素です。

 

 インターネットなどで、「乳脂肪分が低いと、温めた時にミルクのとろみが出ない、泡立ちが悪い」という説明を見ることがありますが、これは誤りです。

 

 ミルクにとろみが出る要因は「空気(細かい気泡)が含まれること」と、「タンパク質の熱変性によるもの」で、乳脂肪とは無関係です。タンパク質の熱変性は、卵が茹で卵になる時に固まるのと同じ原理です(だからこそ、スチーミングは温度が重要です)。従って、低脂肪乳でも乳飲料でも、もっといえば豆乳でも無脂肪乳でも、タンパク質さえ含まれていて、きちんとしたフォーミングを行えば、とろみは出ます。

 

 試しに無脂肪乳をスチームしてみれば一目瞭然です。

 

 

 低脂肪乳と高脂肪乳の違いがあるとすれば、乳脂肪には泡(=すなわちトロみ)を安定させる効果がある、という点です。

 

 ただそれも、生クリームぐらいの乳脂肪分 ( 35~50%) ならともかく、牛乳程度では効果は大きくありません。

 

 因みに冷たい牛乳を(冷たい状態のままで)泡立てることも出来ます。これは細かい空気を多く含ませることで乳化状態(乳化とは、分離液状ドレッシングをよく振るとトロみが出るのと同じです)が生まれるからで、この原理を利用した商品も発売されています。

 

 まさにドレッシングを振る感覚ですね(笑)。

 ただ、やはり冷たい牛乳だと泡が安定しないので、長くはもちません。

 

 その他としては、ミルクの鮮度も重要な要素です。

 

 牛乳のカゼインタンパク質は、鮮度が落ちることで細菌が作り出す酸や酵素によって不安定になります。さらに加熱を行うことで、その不安定さは一層助長されるため、スチームした時にモロモロになったり分離したりします。できる限り新鮮な牛乳を準備し、開封後は速やかに使い切るようにしましょう。

 

 また、消極的に聞こえるかもしれませんが、どうしても相性がよくないという牛乳の銘柄があることもまた、事実です。「どうにもこうにも上手くいかない」というときは、牛乳の銘柄を変えてみることもまた、ひとつの手です。

 

 使用するミルクピッチャーに関しては、こちらのページをご参照ください。

ミルクピッチャー ~ラテアートを描くための道具。選び方~

 

スチームのやり方

 ミルクのスチーム(泡立て)は、「①空気を入れる(ミルクのボリュームアップ)」 →「 ②対流で 攪拌させて気泡を潰し、細かくする(ミルクのテクスチャリング)」という流れで進みます

 

フォーミングプロセス

(図はクリックで拡大)

 

詳しい方法は、こちらのページをご覧下さい。

スチームのやり方

 

ミルクフローサーでのフォームドミルク作り

 

 エスプレッソマシンが無い場合は、ミルクフローサー(ミルクフォーマー)を使ってフォームドミルクを作ることができます。

 

 詳しい方法は、こちらのページをどうぞ。

ミルクフローサーでのフォームドミルク作り